横川大明神 前のページへ戻る   表紙へ戻る

 七郷一色方面の水を集めて流れ、名号の北端で字連川に合流している川を大島川というが、また別に横川とも呼んでいる。この川は特に水がきれいで、魚が沢山いるが、中でも "あめのうお" が多く、その親分が住んでいたという。
 ある日のことであった。木を削っていた杣が、昼時になったので腰を下ろして弁当を食べだした。すると、どこから出てきたのか、"かむろっこ" の小僧が現れて、いかにも欲しそうに見ているので、1つくれてやった。小僧はおいしそうに食べて、どこともなく消えていった。また次の日にもやって来て、弁当を欲しそうに見ているのでくれてやった。こうしてその "かむろっこ" は毎日昼時にやってくるようになった。こうしてだんだん慣れてきたので、杣が、「お前は何がきらいだ」と聞くと、「わしはちそ(しそ)と "たで" がきらいだ」と答えた。そこでこの杣はいたずらを思いたち、その翌日、弁当の中へこっそりしそとたでを入れ知らん顔して与えた。
 その翌日のこと、杣は1m余のあめのうおの大魚が、仕事場の近くの淵の真中で死んでいるのを見付けた。すると急に寒けがしだしがたがたと体が震えて苦しくなってきたので、急いで家に帰り寝込んでしまった。
 これを知った名号の人たちは、これは大変なことになった。あれはきっと横川の主の化身であるに違いない。このままにしておくと、名号中がたたられてしまうと心配して、村中で相談の結果、この横川のあめのうおの主を、氏神様の横へ神様として祭った。これが横川大明神で、現在も村人によって祭られている。

鳳来町誌民族資料編(南設楽郡鳳来町発行)より引用


六所神社と横川大明神

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