およしぽうこん 前のページへ戻る   HOMEへ戻る 

 その昔に、およしという娘がいて、およしは一緒になると誓った男性がいました。 しかしおよしの願いは、むざんにも親が反対して消え果てました。 けれどもおよしは、何日たっても、その男性を忘れることが出来ずに、今の盛義海水亭の所の海に、その男性と一緒に身を投げて死のうと思いました。 およしは、着物のたもとに、石をしばりつけて、先に身を投げて死にました。 その苦しみを見て男性は、恐しくて死ぬことが出来ずにおよしを残して、姿をくらましてしまいました。
 それから数日たった夜、村の人が夜綱を引いていると、沖の方から青白い光りがあらわれました。 村の人はそれに気がつき少しの間眺めていましたが、1人が、あれはきっと「火の玉だ」と言い出し、村の人たちは必死になって家に帰りました。
 それから、数週間たった薄暗い夕方、村の男の1人がさかなをたくさんとったので、早く帰ろうとして黒岩のあたりに来ると、青白い光りがちらちらしているので、だれかいるのかと思って近づいて行くと、その光りがこちらに近づいて来るのです。 男の人は、いそいでろをこぎやっと陸に上がったかと思うと、もうその光りは目の前にいました。 男はいそいで家に帰り、みんなにその事を話しました。
 その夜、村の人が集まって、火の玉の事について話し合い、火の玉の正体は恋人だった男をさがしてさまようおよしの亡霊だと気づき、およしが自殺した所に、墓を立ててやりました。
 そしてこんなこともありました。 それは、その男性が旅館に行くと、飯が2人前出されたり、1人で歩いていても、他の人には2人に見えたりしました。
 また、およしが身を投じたところの海を、夜船で通ると沈んだりしました。 その頃はまだ、およしの霊がさまよっていましたが、現在は、そんなことはありません。 およしの墓は、現在の盛義海水亭の上にあります。
 およしの供養をいたしましたら、そののち、およしのぼうこんは出なくなったのだそうです。

渥美町の伝説(渥美町教育委員会発行)より引用 


およしの墓

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