はぜのかさ山 前のページへ戻る   HOMEへ戻る 

 むかし、むかーしのお話です。
 べんけいという、大へん力もちの、大男が、はぜの村にやってきました。
「べんけいどのは、力もちじゃというが、いったい、どれほどのものが、持てるのかな。」
「水がめ、一ばいの水か。」
「いーや、二はいだろ。」
「それとも、大きな岩でも、持てれるというのか。」
 村人が、大ぜいよってきて、さわざたてますが、べんけいは、ふといひげをしごいて、笑っているばかりです。
「何か、持ち上げて、見せておくれよ。」
「そうだ。見せておくれ。」
 べんけいは、あたりを見まわして、考えていましたが、
「よーし。それではの、この村には、高い山がないで、ひとつかわいらしいのを持ってきてあげよう。」
といいました。村人はびっくりして、
「山?……あの木のはえている。」
「そ、そんなことが……。」
 村人は、ほんきにすることができませんでした。
 そんな話は、もう忘れかけていたころ、夜あけの村に、どっしん、どっしんと地ひびきがします。なにごとだろうと、村人が外へとび出してみると、べんけいが、大きな山を、てんぴんぼうでかついでやってきます。
 さすがのべんけいも、かおを赤くし、ひげを、針金のように、ぴんとたてています。そして、片方は、はぜの村へ、片方は海の中へ、
「どっこいしょー。」
と、大声をたてておきました。
「わあー、べんけいどの。」
「えらい、えらい。」
 村人たちは、手をたたき、足をふみならして、べんけいを、ほめたたえました。
 はぜにおかれた山は、前から見てもうしろから見ても、右から見ても、左から見ても、同じような形で、まるで畑の中へ、ちょっきり笠をふせたように見えるので、はぜのかさ山とよばれるようになりました。
 海の中におかれたのが、姫島だそうです。だから、かさ山も姫島も、きょうだいのように、なかよくむかいあっています。
 近くにある池は、べんけいが、山をおく時、力をいれてふんばったので、地めんがめりこんでできたという、べんけいの、あしあと池だそうです。

「もと」ばあちゃんのおはなし(田原市教育委員会)より引用 


かさ山

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