● 天神石とお亀石 東三河の伝説・昔話へ   前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 駒形町の本宮神社には、「天神石」と「お亀石」という2つの大きな石が祀られている。
 昔、この辺りを天神の杜といったことから、「天神石」と名がついたと伝えられている。 日本武尊が東国を治めに行く時、この石に腰をおろして、月を眺めて一夜を明かしたという話が残されている。
 もう一つの「お亀石」にはこんな話がある。
 磯辺の村人、仁助はある日のこと、夢のお告げをさずかり、夜が明けたばかりの早朝の海岸に立ち、海を眺めていると、隣家の留蔵、弥助も同じように夢のお告げがあったと言って海岸にやって来た。
 3人の見た夢は、それぞれの夢枕に、真っ白い着物に、白ひげをはやした、品のよい老人が現れ、
「わたしは海の精霊じゃが、歳をとり、海底の暮らしがきついのじゃ。 明朝、磯辺の浜にたどり着くので、どこか海の見える高台に連れて行ってくれないか」
と言うと、老人はすーと消えてしまった。
  3人が3人とも同じ夢を見て、夜明けと共に同じ場所にやって来たことを不思議に思いながら、穏やかな海を眺めていると、急に大きな波が立ち、海が荒れた。
「ウワァー」と3人は驚き、震えながら海を見ていると仁助が遠くを指さしながら、
「あ、あれはなんじゃ。おお、大海亀じゃ」
 大声で叫ぶと、大亀はものすごい勢いで3人の前までやってきた。
 大荒れに荒れた海がもとの静けさに戻ったとき、海岸に乗り上げたその亀をよく見ると、亀の形をした大きな石だった。
「亀は長生きの生き物じゃ。健康長寿の守り神にせまいか」
「おお、そうじゃ、これは海の精霊じゃよ。夢の中で望んどったように、海の見える高台に祀ってあげまいか」
「それがいい、天神石の祀られている神社がいいだろう・・」
 けれども、こんな大きな石を3人では運べない。 どうしたものかと困っていると、どこからか、かすかに「お亀石、寄るなさわるな杖つくな、よけて通れよ新参もの」と不思議な声が聞こえてきた。
  3人は、この言葉を唱えながら、3日3晩、祈り続けた。 すると、不思議なことに、重く大きな石が3人で軽々と持ち上がり、神社まで運ぶことができた。
 村人たちは、この石を「お亀石」と呼び、天神石と同じように手厚く祀ってきた。
 豊橋の民話「片身のスズキ」(豊橋市図書館発行) より引用 


本宮神社の天神石とお亀石

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