● 篠田の弘法松と雷さん 前のページへ戻る   HOMEへ戻る 

 大正のはじめ頃まで篠田には、幹のまわり約1丈5尺(約5メートル)、高さはまさに天を衝く、それはそれは大きな松の木がありました。
 そのあたりを弘法野と言い、この松は弘法太子お手植えの松と伝えられて参りました。心想寺の南200メートル町道篠田・足山田線の西側に奪えておりました。
 ある日、一天にわかに掻き曇り、稲妻が走ったかと思うと、地軸も裂けよと大音響が轟き渡りました。雷が落ちたのです。人々は思わず目を覆い、耳を塞いで立ちすくんでしまいました。
 ふと気がつくと、松の大木は一の枝がもぎ取られ、その下2丈余り(約6メートル)が黒こげとなり、見るも無残な姿が目に映りました。村人たちは、おののき震えて声も出ませんでした。
 その時突如、修行僧らしい、いとも不思議なお坊さんが現れて、
「みなさん、雷さんがとんだいたずらをしましたな。しかし雷さんが、弘法さんに言われるのには『大釜をかぶせて縛ってください。そうしてくだされば、篠田の地にはこれからは絶対落ちません。お許しください。』と詫びましたので、その通りにしてやりました。これからは2度と雷は落ちませんよ。」
と言ったかと思うと、掻き消すように姿が消えてなくなりました。村人たちは、今のは弘法様に違いないと2度びっくりしました。
 昔から、篠田には雷は落ちないと言い伝えられています。これは以上のような由来によるものと思われます。
 この由緒ある松も大正8年の台風で姿を消してしまいました。そして弘法様は、のちに篠田の心想寺に移転安置され、現在に至っています。

ふるさとの伝説 昔のはなし(宝飯郡一宮町発行)より引用


心想寺と弘法堂

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