ちんばの氏神 前のページへ戻る   表紙へ戻る

 むかし、大海の里には氏神がなく、川上の滝川(いま横川)には氏神が2社あったという。そこで大海の庄屋から滝川の庄屋へ頼みこみ、1社をわけてもらうことにはなったがおもてだっては、氏神をよそへゆずるようなことはできない。
『さてどうしたらよいものか』と、双方の庄屋が知恵をしぼったあげく、滝川から、ご神体を箱に入れ寒狭川に流す、大海ではそれを拾いあげて、おまつりする、ということにきまった。
 大海では、その日、村びとたちが、今か、今かと待ちうけるうち、滝川を出たご神体の箱は、ぶじ大海へとどいた。
 それも、ぴったり川岸でとまって動かないので、神様も気にいって下さったのだと、村人たちよろこびあった。
 この氏神をまつったのが、いまの滝神社である。この神様、女の竜神で、ちんば(片足)だった。
 ところで川向うの横山の氏神は、男の竜神で、目はガンチ(片目)、このお二方、似た者同志でご夫婦になられたという。
 ともにご不自由なおからだなので、毎年、神様がたが出雲へお集りになるときは、よその神様より、一日早くおたちになる。
 この神様、安産の神様であり、大海の氏子のなかで、お産に苦しんだ人はまだない。

愛知県伝説集(泰文堂) より引用


瀧神社

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