杉の木の崇り 前のページへ戻る   表紙へ戻る

 北設楽郡三輪村(いま東栄町)大字長岡の素盞嗚神社に、見上げるような杉の大木があります。ご神木として、締縄を張り、村中で大切に扱っています。
 むかしひどい飢饉が村を襲ったとき、この社の境内の立木を売って村中飢をしのいだことがあったのですが、その年、悪いはやり病で、村に死人が絶えぬという事件がおこりました。
 これはてっきり、ご神木の崇りであろうと、あわててお詫びのおまつりをしました。
 その後何年かたって、又、飢饉の年、この大木を売ろうではないかという話がもちあがりましたが、前の例もあり村の金持が金をだして、その場を切抜けました。
 またあるとき、他村からこの木を売ってほしいと申込んだ者がありました。その話を聞いてとにかく取次いでみようと約束した神社の世話人が、その夜、不意に卒倒してしまいました。この杉の木が、神木として、いよいよ恐れられたわけです。

愛知県伝説集(泰文堂) より引用


須佐之男神社の綾杉

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